フォン・ラストルフ効果とは、強調された情報や目立つ要素が記憶に残りやすくなる心理効果です。
たとえば、プレゼン資料で一つだけ色を変えた文字や、商品棚で異なる形のパッケージが印象に残るのはこの効果によるものです。
本記事では、フォン・ラストルフ効果の概要や脳の働きとの関係、マーケティングやデザイン、教育などへの具体的な応用方法までわかりやすく解説します。記憶や注目をコントロールするデザインや言葉の使い方を知りたい方にぜひ最後までお付き合いください。
フォン・ラストルフ効果とは
フォン・ラストルフ効果とは、複数の中でひとつだけ目立つ特徴を持つものが、記憶に残りやすくなる心理効果のことです。別名「アイソレーション効果」や「孤立効果」とも呼ばれ、1933年に心理学者ヘド・フォン・ラストルフによって提唱されました。たとえば、色や形が異なる商品、あるいは奇抜な広告などは、他と異なるというだけで印象に残りやすくなります。この効果は、記憶や注目を集めるためのデザインやマーケティングに活用されています。
フォン・ラストルフ効果の歴史
フォン・ラストルフ効果は、1933年にドイツのゲシュタルト心理学の心理学者ヘド・フォン・ラストルフが行った記憶に関する実験から導かれました。彼女はリスト内にある一つの異質な項目が他の項目よりも記憶に残りやすいことを発見しました。
例えば被験者に10個程度の単語リストを提示し、その中の1つだけを異なるカテゴリ(例:果物の中に数字)にして記憶させました。たとえば「りんご・バナナ・みかん・7・ぶどう・メロン…」のように構成されたリストを見せた後、どの単語を覚えていたかをテストすると、異質な単語(この場合は「7」)が他の単語よりも明確に記憶に残っていることが分かりました。この結果は、周囲と異なる要素が目立ち、記憶に強く残るという「フォン・ラストルフ効果」を実証したものです。
フォン・ラストルフ効果のメカニズムとは?
フォン・ラストルフ効果が起きる理由は、人間の脳が「差異」や「変化」に敏感で、特に予測外の刺激に強く反応する傾向があるからです。多数の似た要素の中で、一つだけ異なる特徴を持つ対象は注意を引きやすく、記憶にも定着しやすくなります。これは進化的に、危険や新しい情報に素早く対応するために身についた認知的な特性です。視覚的な目立ちや感情的なインパクトも、この効果を強める要因となります。
フォン・ラストルフ効果を使った目立たせるコツ
フォン・ラストルフ効果を活用すれば、伝えたい情報や要素を効果的に目立たせることができます。ポイントは「全体の中で違いを作る」ことです。
たとえば、他の要素と異なる大きさや色、フォント、質感などを取り入れることで、見る人の注意を引きやすくなり、記憶にも残りやすくなります。特に広告やポスター、プレゼン資料などでは、こうした「違和感のある一点」を意図的に作ることで、視覚的なインパクトと情報伝達力を高めることができます。
大きさを変えてみる
周囲の要素よりも一回り大きくしたり、逆に小さくしたりすることで、その部分だけが視覚的に際立ちます。特にプレゼン資料やウェブデザインでは、注目してほしいキーワードや数字を大きく表示することで、視線を集めやすくなります。サイズの違いは、視覚的な「異質さ」を簡単に生み出せる手法のひとつです。
色を変えてみる
他の要素と異なる色を使うことで、自然と目が引き寄せられます。たとえば、白やグレーで統一された中に一つだけ赤や青を配置すると、その色の部分が強く印象に残ります。色は感情にも訴える力があり、選び方次第で注意だけでなく印象やブランドイメージの強化にもつながります。
フォントを変えてみる
文字の形や太さ、スタイル(例:明朝体とゴシック体など)を変えるだけで、文章中の一部を強調できます。他の文字と異なるフォントは視覚的に目立ち、情報の重要度を明確に伝える手助けになります。ただし、変えすぎると逆に読みにくくなるため、使う箇所は絞るのが効果的です。
タッチ(質感)を変えてみる
印刷物やプロダクトデザインにおいて、質感を変えることで触覚的・視覚的な差異が生まれます。たとえば、全体がマットな中に一部だけ光沢やエンボス加工を施すと、その部分が際立ちます。デジタル上でも影や立体感を加えることで、見た目の質感に差をつけ、注意を引く効果が得られます。
フォン・ラストルフ効果を使う時の注意点
フォン・ラストルフ効果を活用する際は、「目立たせすぎ」や「周囲との調和の欠如」に注意が必要です。強調したい要素が多すぎると、全体がごちゃごちゃしてしまい、逆に何も伝わらなくなります。
また、異質さが文脈やデザインの意図と合っていない場合、不自然に見えて不快感を与えることもあります。効果的に使うには、対象の内容や目的に合った「差異」を選び、1ページ・1画面に1〜2か所に絞って活用するのがポイントです。
まとめ
フォン・ラストルフ効果は、視覚的に「他と違うもの」が自然と記憶に残るという心理現象です。
情報やデザインの中で伝えたい部分を強調したいとき、色・サイズ・質感などを工夫することで注目を集めることができます。
プレゼンや広告、商品パッケージなど、さまざまな分野で効果的に活用できる一方で、使いすぎると情報の焦点がぼやける危険もあります。意図的かつ適度な「違和感」が、印象に残るデザインの鍵となります。
Puzzle Effectではフォン・ラストルフ効果を活用しながらブランドイメージを守ったデザインの構築を行なっています。デザインの構築にお困りの場合は是非ご連絡・ご相談ください。