グルーピング|似たものをまとめて整理し、情報を見やすくする方法

情報をわかりやすく伝えるには、ただ並べるだけでは不十分です。大切なのは、「関連するもの同士をまとめる」視点。グルーピングとは、要素や情報を意味や関係性ごとに整理し、視覚的・認知的に理解しやすくする手法です。

この記事では、グルーピングの基本概念から具体的な例、デザインや資料作成に活かせる視覚的テクニックまでを解説。情報の見せ方を変えるだけで、伝わり方が大きく変わることを実感していただけます。

目次

グルーピングとは

グルーピングとは、情報や要素を意味や関係性に基づいて「まとまり(グループ)」に整理する手法のことです。大量の情報があるとき、それらを無秩序に並べても理解しづらく、記憶にも残りにくくなります。そこで、似た特徴を持つ項目同士をひとまとめにすることで、情報が整理され、視認性や理解力が向上します。

たとえば、Webデザインにおいては、ナビゲーションメニューを「製品」「サービス」「会社情報」といった分類で分けることで、ユーザーが必要な情報にたどり着きやすくなります。また、グルーピングは、情報設計やプレゼン資料の構成、教育現場での指導、ユーザーインターフェースの設計など、あらゆる分野で活用されています。特にUXデザインにおいては、ユーザーの認知負荷を減らし、直感的な操作や理解を促すために欠かせない考え方のひとつです。

グルーピング 例

グルーピングの具体例として、ECサイトの商品カテゴリを考えてみましょう。たとえば「ファッション」「家電」「日用品」「食品」といったカテゴリは、利用者が求める商品を素早く見つけられるよう、性質の近い商品をまとめている典型的なグルーピングです。さらに「ファッション」の中を「メンズ」「レディース」「キッズ」に分け、その先で「アウター」「トップス」「ボトムス」と階層を深めることで、より目的に近づいた選択がしやすくなります。

これは情報の優先順位や関連性を意識した構造であり、ユーザーの意思決定をサポートする重要な要素です。また、学習資料においても、「歴史」「地理」「公民」を社会科の中で分けるように、関連するトピックをまとめることで、記憶の整理がしやすくなります。グルーピングは情報の“構造化”の基本であり、整理整頓の起点となる技術です。

グルーピング・テクニック

グルーピングを効果的に行うには、視覚的な工夫が欠かせません。人の目は「近いもの」や「似ているもの」を無意識にグループとして認識する特性があるため、色や余白、枠線などの視覚要素を活用することで、情報のまとまりを直感的に伝えることができます。

色はグルーピングにおいて非常に強力な要素です。同じ色で統一された要素は、ユーザーに「これは同じグループだ」と直感的に認識させる効果があります。

たとえば、資料の中で「課題」を赤、「解決策」を青と色分けすることで、視覚的に情報の整理がされ、理解がスムーズになります。ただし、色の使いすぎは逆効果になり得るため、3〜4色程度に抑えるのが基本です。また、色覚の多様性も考慮し、重要な情報は色だけに頼らず、形や文字の工夫も組み合わせましょう。

空間

要素同士の間隔、つまり余白やスペースもグルーピングにおいて非常に重要です。近くに配置された要素は「同じまとまり」として認識され、遠くに配置された要素は「別のグループ」として認識されます。

これはゲシュタルト心理学における「近接の法則」に基づいており、人の認知に自然に働きかけるテクニックです。空間による整理は視覚的な負担を軽減し、全体の構造を直感的に伝えるのに役立ちます。意図的な余白設計は、プロのデザイナーにも欠かせない要素です。

囲う

枠線やボックスで要素を囲む方法は、明確にグループを示したいときに効果的です。囲まれた情報は、それ以外の情報と切り分けられ、「一つのまとまり」として認識されます。

たとえば、Webサイトのサイドメニューや、プレゼン資料の注釈欄などでは、囲いを使って注目ポイントを整理できます。ただし、囲いが多すぎたり複雑すぎたりすると、逆に画面が煩雑に見えてしまうため、シンプルで余白を活かした設計がポイントです。強調と整理のバランスが鍵になります。

大きさ

要素のサイズを変えることで、情報の階層や関連性を示すことができます。大きな文字や画像は自然と注目され、同じ大きさで並んでいる要素は「同等のグループ」として認識されやすくなります。

たとえば、見出しは大きく、本文は小さくという構成は、ユーザーが情報の流れを追いやすくする典型例です。また、図やアイコンのサイズも、グループの境界を暗黙に伝える効果があります。視線の流れを考慮しつつ、情報の重みを大きさで表現することが重要です。

線は情報同士を区切ったり、逆につなげたりするためのシンプルかつ強力な手段です。区切り線を使えば、「ここで情報が切り替わる」という意識を与えられ、グルーピングが明確になります。

また、点線や矢印などを使えば、関連する要素を視覚的に結びつけることも可能です。たとえば、比較表やフローチャートなどでは線を活用することで情報の流れが整理され、理解が促進されます。線の太さや色にも意味があるため、意図に応じた使い分けが求められます。

見出し

見出しは、グルーピングにおいて情報の「タイトル」や「まとめ」として機能します。見出しがあることで、どの情報がどのテーマに属しているかが明確になり、読者は全体の構造を把握しやすくなります。

たとえば、ブログ記事や説明資料では、見出しによって読者が必要な情報に素早くたどり着けるようになります。フォントの大きさ・太さ・色などを変えることで、見出しの視認性を高めることもポイントです。情報の区切りや重要度を示す基本要素として欠かせません。

まとめ

グルーピングは、情報を「見やすく・わかりやすく」整理するための基本中の基本です。プレゼン資料やWebサイト、教育現場などあらゆる場面で活用でき、視覚的な構造を整えるだけでユーザーや受け手の理解力は格段に高まります。

今回ご紹介した考え方やテクニックを応用すれば、複雑な内容でもスッキリと伝えることが可能です。情報の“整理力”を磨く第一歩として、ぜひグルーピングを日々の制作や発信に取り入れてみてください。

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