土をおこす

【消滅可能性都市の今】地域のスペキュラティブデザイン

2014年に日本創成会議から発表された2040年までに20~39歳の女性が半減するとされた都市。
そんな未来を突きつけられた都市は2019年にはどうなっていたのか。
消滅可能性都市2位の奈良県川上村をメインに消滅可能性都市を解き明かす。

川上村

奈良県吉野郡川上村は面積269.3km²、森林率は95%のほとんど山の村。
2019年10月31日時点で総人口は1313人、高齢者割合は57%、子どもは89人

主要産業の林業は、これまで林業は売って終わりだったが、日本全体の林業の衰退を受け入れ、ものづくりしないと売れない現状を把握し、現在のニーズの『作る』に力を入れています。

また村に移住者を集めるために川上ingツアーを定期的に開催しており、若手の職人を集め『定住』と『移住』を重点対策をおこなっている。相談内容によって住居のご紹介まで幅広くバックアップをおこなっている。

さらに、ほとんどが山の中にあるため飲食店やスーパーなども特に少なく、住人は基本的に車移動なのだが、移動販売や地域に寄り添った組織『かわかみライフ』があり、主婦などの働く場所として多くの役割を持ち町の存続に大きく関わっている。

なぜ消滅可能性都市第2位なのにこんなに元気なの?

消滅可能性都市のイメージはネガティブだったが実際にフィールドワークをおこなっていく中でそのイメージは完全に払拭された
確かに不便な要素があるのは拭えないが、そのまま消滅を待っている様子ではなく、活発に活動を行うことでよい村作りに努めています。

なぜここまで村自体に活気があるのか?それは消滅可能性都市というタグ付けをされたからと考えた。外から見ると絶望しかないが内情は違う。
そう設定されたことで地域の人やそこで起きるモノゴトや内面までは表すことはできない。
消滅可能性都市に設定されたことで次の3つがことが明確化されました。

①村の現状

村の現状にはっきり名前がついたことで、問題がはっきりし、何を目標にした問題解決が必要か明確化された。それぞれの問題に対し、効果的な対策と戦略が立てやすくなりました。また、村全体での意識の共有も図られ、一丸となって取り組むことができるようになりました。

②危機感が高まった

消滅の危機に直面したことで、村民たちの間に危機感が高まりました。この危機感が動機となり、村民たちは協力して村を守るための具体的な行動を取るようになりました。それによって、以前よりも地域の絆が強まり、活動が活発化と考えます。

③村を知るきっかけ

消滅可能性都市というタグは、外部からの注目を集め、多くの人々に村の存在を知らせるきっかけとなりました。その結果、新しい人々が村を訪れるようになり、地域おこし協力隊の方を中心に外部からの支援や協力も得られるようになりました。これによって村の問題解決への新しいアプローチやアイディアが生まれ、村の活性化につながりました。

スペキュラティブデザイン

スペキュラティブデザインの主な目的は、未来の可能性を模索し、現在の潮流やパラダイムに疑問を投げかけることです。これにより、社会や個人が直面している問題、倫理、価値観などを探求し、リフレクションやディスカッションを促します。

今回の川上村の『土をおこす』スペキュラティブデザインは村の現状やその後の発展そして将来的にどうなるのかというものでした。

2019年 岡崎竜久(他:課題メンバー) 授業課題 スペキュラティブデザイン